健康コラム

【健康百話】第15話
 安心して手術を受けていただくための 「麻酔の話」

麻酔科 小林なぎさ 医師

 

 
手術には痛みとストレスが伴います。麻酔はそのストレスから患者さんを守り、手術中の患者さんの全身状態を日常通りに維持することを目的とした医療行為です。
 
 
 

 
麻酔には大きく分けて次の二つの方法があります。

(1) 全身麻酔:
    身体全体の痛みをとります。手術中は意識がありません。
(2) 局所麻酔(硬膜外麻酔、腰椎麻酔、各種神経ブロックなど):
    脊髄神経や末梢神経に局所麻酔薬を作用させて必要な
    部分だけの痛みをとります。手術中は意識があります。
 
☆受ける手術の種類に応じてそれぞれ単独に行なう場合と、両者を併用する場合があります。術前に麻酔科医が患者さんを診察し、最も安全と考えられる方法を選択します。
 
 
 
 

 
手術が決まったら麻酔科医が問診、触診、触診など、患者さんの術前診察を行ないます。患者さんの全身状態や病歴、手術内容などを考え合わせて、患者さんに最も安全と考えられる麻酔方法を選択し、患者さんに説明します。
 
 

 
患者さんによっては手術室入室前に、不安を取り除く薬を内服したり、注射したりすることがあります。手術室入室後、心電図や血圧計などのモニターを装着し、麻酔を開始します。
 
(1)脊椎麻酔:
  脊椎の脊髄液が満たされている場所に局所麻酔薬を注入し、下半身を麻酔します。
  主に下腹部や下肢の手術に対して行われる麻酔方法です。
(2)硬膜外麻酔:
  脊髄の近くの硬膜外腔に細い管を挿入し、局所麻酔薬を持続的に投与して手術部位の痛みを軽くする
  麻酔方法です。術後も使用することができますので術後の痛みを取るためにも使用されます。
 
☆ 脊椎麻酔、硬膜外麻酔を行う時は手術台の上で横向きになり、背中を丸めた体位をとります。最初に痛み止めの注射をしますので、処置中の痛みはほとんどありません。脊椎麻酔、硬膜外麻酔ともに手術中は意識がありますが、ある程度眠ることも可能ですので、希望があれば麻酔科医まで申し出てください。
(3)全身麻酔:
  鼻と口にマスクを当てて酸素を吸っていただきます。次に眠くなる薬が点滴から入り、意識がなくなります。目が覚めた時には手術は終わっています。お声をおかけしますので、目を開けたり、手を握ったりして、目が覚めていることを伝えるようにしてください。
 
☆ 手術中は麻酔科医が患者さんの全身状態を見ながら麻酔の深度や人工呼吸の条件を適切に調節して、手術侵襲や痛みなどのストレスから患者さんを守ります。
 
 

 
患者さんの血圧や脈拍数、呼吸状態などに異常がないことを確認し、病室あるいは集中治療室に戻ります。全身麻酔の場合、使用した麻酔薬や鎮痛剤の影響で完全に眠気が無くなるまで時間がかかる場合がありますが、心配はいりません。意識がはっきりしたら、深呼吸をしたり手足の運動を行なうようにしましょう。局所麻酔の場合、下半身が痺れていることがありますが、自然に戻ります。その他、吐き気や頭痛、痛みや目眩など、気になる症状があればお伝えください。
 
 

 
(1) ご自分の身体の状態や治療を受けている病気について、

    よく把握しておきましょう。
(2) ふだん飲んでいる薬については、内容を理解しておきましょう。
(3) 手術にむけて風邪をひかないよう体調を整えましょう。
(4) 不明な点や疑問があれば、遠慮なく質問しましょう。
(5) 手術が決まったら、禁煙にご協力下さい。
 
 
 

 
麻酔という医療行為には危険が伴いますが、その発生率は極めて低く、麻酔は安全性の高い医療行為の一つです。麻酔科医は外科医や内科医と協力して安全な管理に努めております。麻酔科医訪問の際には麻酔に関する様々な問診や診察に御協力いただき、麻酔内容を十分に御理解の上、手術を受けていただきますようお願い致します。

麻酔科 小林なぎさ 医師



出 身 地   青森県八戸市
最終学歴  東京女子医科大学卒業
職  歴  平成12年 済生会山形済生病院入職
専 門 医   日本麻酔科学会 指導医
      日本ペインクリニック学会 専門医
      医学博士


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