健康コラム

【健康百話】第22話 不整脈

循環器内科 池野 栄一郎

 
 
【こんな症状に心当たりはありませんか?】
以下の症状に該当したら、それは不整脈が原因かもしれません。
[徐脈] 息切れ、フラツキ、めまい、失神
[頻脈/期外収縮] 急に胸がドキドキする、脈が飛ぶ、吐き気、胸が苦しい、締め付けられる
 

 
【不整脈って何?】
不整脈は三種類。早い脈、遅い脈、飛んだり抜けたりする脈があります。心臓を動かす電気の発生異常やその通り方が異常になる事で発生します。
1. 早い脈(=頻脈)
「頻脈」は、心臓を動かす為の電気が異常に早く作られたり、電気の通り道が異常な場所に出来て、そこを電気が通ってしまう為に発生します。
2. 遅い脈(=徐脈)
「徐脈」は、心臓を動かす為の電気が作られなくなったり、電気の通り道の途中で電気が通らなくなってしまう為に発生します。
3. 飛ぶ/抜ける脈(=期外収縮)
「期外収縮」は、本来電気が発電される正常な場所ではない場所から、電気が早く発電されてしまう為に、発生します。この異常な電気が心房で発電される時には「心房性期外収縮」、心室で発電される時には「心室性期外収縮」と呼びます。
 

 
【不整脈はどうして起こるの?】
不整脈はなぜ起こるのか?不整脈が発生する主原因は、冠動脈疾患、心臓弁障害、心不全、先天性心疾患等の心臓に起因する疾患です。甲状腺異常や肺に病気がある人も不整脈になり易い傾向があります。しかし、心臓病等に関係なく、加齢や体質的なもの、ストレスや睡眠不足、疲労等によっても不整脈は起こり易くなります。又、処方薬や市販薬の中には、不整脈を誘引する成分が入ったものもあります。心臓は1日に約10万回も動いており、ちょっとしたものを含めると不整脈は誰にでも起きています。
 
【不整脈って怖いの?怖くないの?】
[怖くない不整脈]
ほとんどの不整脈は、実は無害です。脈がたまに飛ぶ程度であったり、症状の無い徐脈等はほとんど心配の必要はありません。勿論、運動や精神的に興奮した状態の時に脈が一時的に早くなる事も心配は要りません。こうした不整脈は、何か悪い症状をもたらす事も、血液を送り出す心臓のポンプ機能を悪化させる事もありません。
[怖い不整脈]
ある特定の不整脈には注意を必要とし、怖いタイプの場合があります。これらの不整脈は、専門医の適切な診断と治療を必要とします。これらの怖い不整脈は症状の有無とは関係が無い場合もあるのですが、下記の様な症状を示す場合が比較的多いので、注意が必要です。
1. 急に意識が無くなる。失神する。
2. 脈拍数が1分間に40回以下で、体を動かすと息切れやめまいがする。
3.突然動悸が始まる。
全く不規則な心臓の動きがあったり、突然始まり突然終わる、1分間に150〜200回以上の頻脈がある場合は、より詳細な診断と治療を必要とする場合がほとんどです。
 

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[心房細動]
高齢化社会で最近注目を集める「心房細動」という不整脈も怖い不整脈の一つです。最近、国民的人気の元プロ野球選手が脳梗塞を発症し懸命なリハビリの結果、野球観戦が出来るまでに回復しましたが、この脳梗塞の原因となったのが、この「心房細動」というタイプの不整脈でした。
「心房細動」は年齢に関係無く誰にでも起こりえる不整脈です。例えば大酒を飲んだ翌朝に、脈が乱れて速くなっていたりする時は、この「心房細動」である時が多いです。又、甲状腺機能が亢進する時にも「心房細動」になる場合があります。しかし最も多いのはやはり高齢となる事で起こり易くなる場合です。日本では70万人以上の方が、この「心房細動」で苦しんでいると言われています。
「心房細動」は脈がバラバラに打っています。しかも1分間に150〜200回以上のとても速い状態での乱れ打ち状態となっているので、かなり強い動悸が感じられます。心房細動ですぐ死ぬ事はありませんが、この状態が長く続くと心房に血の塊(=血栓)が出来易くなります。それが血液の流れに乗って脳の血管に詰まるのが脳梗塞です。
「心房細動」はその多くは薬で治療可能です。その際に、血の塊(=血栓)を作り難くする薬も一緒に飲みます。しかし、「心房細動」を抑える薬は、最初は直ぐに効くのですが、徐々に抵抗性を持ち、薬が直ぐには効かなくなり「心房細動」が持続してしまう場合があります。この場合には、高周波カテーテルアブレーション治療が行われる事もあります。



【不整脈ってどうやって診断するの?】
不整脈を正しく診断する為に、幾つかの診断方法があります。安静時12誘導心電図、胸部レントゲン検査(X線検査)、血液検査、ホルター心電図、運動負荷心電図、心臓超音波検査は外来で行える検査です。より正確な診断の為には、カテーテルを心臓内に入れる心臓電気生理検査が非常に有効です。

[心臓電気生理検査(EPS検査)]
電極カテーテルという数ミリ径の細い管を、足の付け根や首にある静脈から、心臓に数本挿入します。このカテーテルの先端には金属製の小さなチップ(=電極)が付いており、これを心臓内壁に接触させると、心臓内の電気活動を詳細に得られます。この検査中にカテーテルを通じて心臓に電気刺激を与える事で、意図的に不整脈を起こして、患者さんの不整脈の原因、不整脈の発生元、重症度、有効性のある薬剤の判定等を行い、最適な治療方針が決定出来る、不整脈診断に於いては非常に重要かつ有効な検査方法です。



【不整脈ってどうやって治療するの?】
不整脈と診断された患者さんには、幾つかの治療方法があります。
[徐脈治療(ペースメーカー治療)]
徐脈治療には、ペースメーカー治療が広く一般的に行われており、日本では年間4万個以上が植込まれています。徐脈は、心臓を動かす電気の発生元から電気が規則正しく発生しなかったり、電気の通り道が正しく機能しない事が原因です。人工ペースメーカーと電線を植込む事で、人工ペースメーカーから発生させた電気が刺激で徐脈を解消させます。

[頻脈治療]
心臓を動かす電気の発生がバラバラだったり、電気が本来通るべき正しい通り道を通らずに頻脈となっている場合には、まず薬物治療が行われます。
1. 薬物治療
頻脈性治療の第一選択肢として広く行われています。患者さん毎の不整脈タイプにより、抗不整脈薬や血液の固まり(=血栓)を溶かす薬等、種々な薬剤を組み合わせて使用します。


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2. 高周波カテーテルアブレーション治療
日本では10 数年前から行われ始め、今では年間一万数千例が行われている治療方法です。心臓電気生理検査(EPS検査)と同様に行いますが、心臓電気生理検査用カテーテルの他に、高周波カテーテルアブレーション治療専用のカテーテルも心臓内に挿入し、心臓電気生理学検査の結果判明した、不整脈を発生させる異常な電気の発生場所や異常な電気の通り道にカテーテル先端をピッタリと密着させます。そのカテーテル先端から500kHz前後の高周波(Radio Frequency)の電気を流すと、組織は50度〜70度の温度で焼灼される事で凝固壊死状態となり、結果的に異常な電気の発生を抑止させたり、異常な電気を通さなくなり、不整脈は起こらなくなります。この治療方法は、心臓組織の極めて小さな部分のみを焼灼するので、心臓自体の機能には影響を与えません。



【まとめ】
不整脈は自覚症状に表れる場合とそうで無い場合があります。又、自覚症状の有無と不整脈の重篤度合いが一致する場合と一致しない場合もあります。従って、少しでも気になったら専門医を受診し、放置しない事がとても大切です。

 池野 栄一郎(いけの えいいちろう)



出身地  山形県山形市
最終学歴 山形大学大学院医学研究科卒業
職 歴  平成24年4月 済生会山形済生病院 入職
現 職  内科診療副部長
専門医  日本内科学会 認定内科医
     日本循環器学会 循環器専門医
             (平成24年12月現在)


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