健康コラム

【健康百話】第24話 ストレスとこころの健康

臨床心理士、生殖心理カウンセラー  安食 ひろみ

 
 
①ストレスとは…
「ストレス」とは「なんらかの刺激が身体に加えられた結果、身体が示したゆがみや変調」のことを指します。そしてそのような変調を引き起こす刺激のことは「ストレッサー」と呼ばれます。しかし、一般的には「ストレス」というと、刺激(ストレッサー)のことも、ゆがみや変調(ストレス)のことも両方をさす言葉として使用されています。
 
②ストレスは悪者か?
「ストレス」という言葉は、「心と体に悪さをするもの」としてのイメージが定着してしまいました。そのため、ストレスそのものが「ない」ほうが良いと考えられがちです。もちろん、ないほうが良いストレスもあります。しかし、わたし達は様々なストレスを感じとり、それに対処していくことによって、例1)のように「健康を維持」したり、例2)のように「人としてこころを成長」させることもできます。
例1)「痛み」というストレス⇒身体の不調を察知する
⇒病院へ行く・薬を飲む・お休みをとる…など「身体の調子を整える行動」をとる。
例2)「苦しい」「辛い」体験や出来事⇒努力したり、支えあったり、試行錯誤する経験
⇒体験したことを生かしてたくましく成長することができる。

③こころの健康に悪影響を与えるもの…
 では、なにがこころの健康に悪影響を与えるのでしょうか?
 まず、ストレスの「強さ」や「内容」があります。表は、どんなことにどのくらいストレスを強く感じるかを調査してまとめたもので、ストレスの「強さ」を知る目安として知られています。ストレスとなる「内容」では「環境や対人関係で日常生活に大きな変化を伴う出来事」という共通点があり、誰にでも起こる可能性があります。わたし達が変化に対応することにいかにエネルギーをたくさん使っているかがわかります。
さらに、ストレスに直面している「頻度」や「期間」が影響を及ぼします。「頻度」とはストレスが何度も何度も繰り返されたり、弱り目に祟り目のように複数重なり合って発生してしまったり、という状況です。また「期間」とは、終わりがみえない(終わりがみつけられないと感じる)ような長い期間ストレス状況におかれることです。
こころに悪影響を与えるほどのストレス場面は、誰にでも起こりうることです。防災訓練と同じように、日頃からストレスと上手に向き合う方法や考え方に興味を持っておくことは、いざというときに役にたちます。

④ストレスと上手に向き合う方法〜もっとたくさんありますが…
<身体の健康はこころの健康>
「こころ」というと「気合と根性」「気の持ちよう」などの精神論でなんとでもなると思われがちですが、わたし達がもの感じたり、考えたりする器官=「脳」にその本体はあります。ですから、頭がしっかり働く状態に身体を維持することこそが、ストレス対策といえます。日頃から、質の良い「睡眠」、バランスの良い・楽しい「食事」、適度な「運動」、定期的な「休日」を心がけることがなにより大切です。逆にこれらの活動に支障が出ている場合は要注意信号と考えてもよいでしょう。

<ストレスからは離れても良い>
 日本人はよく「まじめ」「勤勉」「責任感が強い」などと評されます。ところがこの性質が、苦しいストレス状況からでも離れられない(と思い込んでしまう)環境を作ってしまうこともあります。仕事・学校はもちろん、家事・育児・介護生活などにおいても、定期的な休みや、時には長期の休息をとり心身をリフレッシュする。自分が楽しめる趣味を持ち、家族や友人たちとのゆるりとした時間も大切にする。そうした「日々の緊張感から開放される時間を持つ」ことが、こころの健康を維持するためにとても大切です。

<思い込みから開放されよう>
 くよくよしてはいけない、愚痴を言ってはいけない、しっかりしなければならない、頑張らなければならない、…など自分の中にこんな思い込みありませんか?もちろん人には「頑張り時!」という時期もあります。でも、自分のまたは周囲の無言のプレッシャーによる「こうあるべき」に従うのが辛くなったら、「〜しても良い」または「そんなに〜しなくても良い」と言い換えてみてください。時には弱音を吐いたり、人に頼ったりしてもいい、と少し視野を広げることでこころが軽くなることもあります。

<相談しよう!そうしよう!>
 困ったり、苦しかったりしたときは、やはり誰かに「相談」しましょう。最近では行政や医療福祉機関、学校や職場などにこころの健康相談窓口が設置されるようになってきました。こころの内を人に話すことはとても勇気のいることです。こころの専門家は相談に来られる方々のそんな不安や心配もわかった上でお話をうかがうよう心がけています。話をすることで気持ちが整理されます。苦しさをわかってもらえることで、どうしたらいいか考える気持ちもわいてきます。一人で悩まないで、「相談」してください。

 安食 ひろみ(あじき ひろみ)



出身地  山形県山形市
最終学歴 山形大学大学院教育学研究科(教育心理学)卒業
職 歴  平成17年4月 済生会山形済生病院 入職
資 格  臨床心理士、生殖心理カウンセラー


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