健康コラム

【健康百話】第33話 放射線 

診療放射線技師  大内智彰

 

<はじめに>

 福島原発の事故以来、放射線の人体への影響に対する関心は増えてきており、病院での放射線検査へ不安を感じる患者さんも少なくありませんが、実は身近にある放射線とその影響についてお話しします。

<自然放射線と人工放射線>

 放射線は実は身近に存在しており、私たちは、地域などによる差は有りますが、毎年、約2.1ミリシーベルト(日本平均)の自然放射線を宇宙や大地から浴び、空気や食物から体内に摂取しながら生活して居ます。地球上で生きていくには放射線に被ばくすることなく生活することは出来ません。これまで被ばくしてきた自然放射線と比較しても1回の放射線検査の被ばくはそれほど大きくないことがわかります。(図-1)

(図-1) 放射線被ばくの早見表 放射線医学研究所ホームページより

<放射線の利用>

放射線は医療以外にも様々な分野で利用されています。

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<医療における放射線利用>


 患者さんは放射線検査により病気に関する多くの情報が得られ、わずかな被ばく(小さな不利益)に比べ大きな利益を受けます。しかし、原発事故などによる被ばくは私たちにとって、(不利益)しかない被ばくなのでたとえわずかな線量であっても大きな問題となります。
患者さんに放射線を照射できるのは医師・歯科医師及び、医師・歯科医師から指示を受けた診療放射線技師のみです。専門的な教育を受け国家資格を取得した者以外が人体に放射線を照射することはありませんので安心して検査を受けてください。

<放射線検査に対する不安について>

①よくある質問として、「先週、胸部X線写真を撮ったばかりなのに、CTを撮っても大丈夫ですか?」(発がんのリスクなど)といった頻回の検査への心配が多いですが、胸部X線写真とCT検査を行っても被ばく線量は約5〜6ミリシーベルト程度(図‐1)です。(図‐2)を見てください。この程度の被ばくは他の生活習慣と比較しても、がんになるリスクは非常に少なく、心配無いレベルだということがわかります。
(図-2) 
放射線と生活習慣によってがんになるリスク
文部科学省ホームページより


          図2(クリックで拡大)

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②「妊娠に気づかずX線検査をうけてしまったが大丈夫でしょうか?」というお腹の赤ちゃんへの影響を心配される方も多いのですが、(表‐1)に示すとおり、100mGy以下の被ばくでは胎児への奇形や成長障害などの影響は心配ありません。また、通常100mGyを超えるX線検査はありません。(表‐2)

<おわりに>

 放射線は私たちの身近にあること、また、放射線検査による被ばくは病気の早期発見や治療を行う上で必要な被ばくだということを理解し、過剰に恐れず、正しく怖がることが必要です。当院では、今後も継続して被ばく低減の取り組みを行っていきます。
 
放射線検査についての不安や疑問は私たち、診療放射線技師に遠慮なくお聞きください。

大内智彰(おおうちともあき)



昭和40年生まれ
出身地 山形県 天童市
職 歴 平成元年 済生会山形済生病院入職
資 格 診療放射線技師


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