健康コラム

【健康百話】プロローグ 医療者と患者さんの相互参加による医療を実践して
 ー医療への参加で健康管理ー
糖尿病内分泌科  杉山 和彦 医師



私は山形済生病院で糖尿病内分泌科を中心に診療しております。当院には約1000人の糖尿病の方が通院されており、さらに増加傾向にあります。2003年の厚生労働省の発表でも、糖尿病が強く疑われるか、または可能性が否定できない人は、わが国で推計1620万人にも上ることがわかっています。成人の6.3人に1人が糖尿病かその予備軍ということになります。
 糖尿病は生活習慣病の代表的な病気で、男女共通して運動不足や肥満、男性の場合多くはアルコールやたばこ、女性ではおかしや果物の食べ過ぎなどの悪い生活習慣が関係しています。残念ながら、現在の医学では、糖尿病を完全に直す方法はまだ確立されていません。しかし、適切な治療をし,血糖をコントロールしていけば悲観的な病ではないのです。糖尿病の治療を通じ、健康に対する意識が高まり生活の質を向上させることもあります。まさに「一病息災」。ポジティブに糖尿病と向き合いましょう。まず、糖尿病が疑われたら、早期に受診し適切な治療を受けることが望ましいと思います。
 しかし、糖尿病は「薬を飲んでいれば良くなる」というような単純な病気ではありません。ライフスタイルの改善が必要になるため、医師だけでは,患者さんの治療を十分に行うことはできません。当院では、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、健康運動指導士、医療ソーシャルワーカーなどが糖尿病チームを作り治療にあたっています。まず,治療のファーストステップとして、どのようなライフスタイルなのか隠さずに話してほしいと思います。患者さんは、医師にはなかなか話しづらい本音も、スタッフにはこっそり話ししてくれることも少なからずあるようです。その情報に基づき、カロリーやバランスに気をつけた食事、日常生活でも取り入れられる運動、薬の飲み方などそれぞれの専門分野で患者さんに指導をしております。そして,患者さん自身が自分にあった方法を選択し、糖尿病の治療に参加します。

 定期的に通院しながら、食事、運動の自己管理を続けますが、多くの方が病院に併設する健康運動施設「めぐみ」で水中歩行などの運動に参加しております。また、糖尿病スタッフと糖尿病の患者さんで「友の会」が組織され、これまで糖尿病でも食べられるデザートの料理教室、冬でもできるダンベル体操教室、野草園でのハイキング、平清水焼きの陶芸教室などを行いました。昨年の総会は、ホテルで家族の方も交え、650カロリーのコース料理を食べながら行いました。同じ食卓を囲んでの集いは、患者、医療者の枠を超えた和気あいあいとした雰囲気でした。人生の先輩の多い友の会での出会いで、私自身も様々な教えをいただいております。
 これからの医療は、このように医療者側と患者さんの両者が参加する相互参加型の医療になっていくと考えられます。もちろん、疾病により難しい場合もありますが,要は自分の健康は自分で守るという姿勢が大切なのです。私たち医療者も患者さんの訴えや質問を真摯に受け止めるべきですし,患者さん自身も「先生に全部お任せします」ということではなく,自分の体について知る権利と義務があることを自覚していただきたいのです。
 医療への参加は、何も病気になって初めてするものではありません。少なくても年に一回は検診や人間ドックを受けるということもその一つです。当院には、平成16年5月に山形県では初のPET/CTの施設が完成しました。これは、今までの検査に比べ、より小さい癌でも発見できる施設です。特に山形県はがんで死亡する人が多い県として知られていますし、このような「医療の進歩」を賢く利用し、かけがえのないご自分の体を守っていきましょう。

杉山 和彦 医師


昭和36年生まれ
出身地山形県
昭和62年  山形大学医学部卒業
平成 9年  済生会山形済生病院入職
専門医
日本内科学会 認定内科医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・研修指導医
日本内分泌学会 内分泌代謝科特例指導医


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